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本当はちがうんだ日記

本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)

本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)

 

旅のお供に買った文庫。
歌人 穂村弘さんのエッセイ。

友人に勧められて、借りて読んだことはあるかもしれない。
雑誌に掲載されている文章は、読んだことある。
だから、わたしにとって「面白い」文章だということは知っていた。
やっと自分で買って読んだ、という感じ。

やっぱり、面白い。
いっぱい赤線を引いた。
言葉の使い方が、とても好き。
そして、「そうそう」と頷きたくなる、そして自嘲気味に口元が緩む文章なのだ。

引用しても、前後が分からなければ伝わらないと思うけど、いくつか転載してみる。

レベルがちがいすぎる。
うっかり八兵衛風車の弥七になれないように、エレガントでないものは一生エレガントの世界にはいけないのか。

もっといいものに思われたいのだ。だが、もっといいものってなんだ。どうしたらそれになるんだろう。 

間違えてはいけないと考えれば考えるほど、足は止まって、世界との距離は広がってゆく。

自分が愛されようという気持ちで全身がぱんぱんになっていて、相手の言動には異常に敏感。しかし、こちらから誰かに働きかけるということができないのだ。

躰(からだ)を包む硝子はそんな私を守っていたが、同時に世界に触れることを不可能にしていた。

自分に響いた箇所を読み直すと、自分があぶり出されていることに気づく。
必死に手足をバタバタ動かしているのに、思い切って足をついてみたら、全然進んでなかったような気分だ。
ただ、体の向きは変わっていて、見える景色がちょっと変わったようだ。