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ブログ「ココチノ」管理人の読書ブログ

大切な病気になったとき、何ができるか考えてみました

大切な人が病気になったとき、何ができるか考えてみました (単行本)

大切な人が病気になったとき、何ができるか考えてみました (単行本)

 

年齢を重ねるってことは、家族や親戚も同じように年を重ねます。友人、知人もね。
病気や怪我に遭うことも増えるんだなって、ここ数年感じていました。
そんなときに、この本の発売を知りました。

 

モーネ工房を主宰する井上由季子さんが、ご両親の入院で感じ実践した工夫などを紹介されています。

お母さまが倒れられたときに、医師からの一言で、“母を想う心がなかった自分に気づいた”と書かれています。

でも、井上さんはとても優しい人だと思います。
彼女が作っているものや発信しているものからそう感じますが、そんな井上さんでも家族に対してだと素直になれないってことなんだなぁと。

 

病気や怪我という状況でなくても、病院や施設という環境でなくても、誰かじゃなく自分に対しても出来る、小さな工夫や気づきがありました。

植物をさわっていると気持ちがほっとして休まるということ。
ホームセンターで買った観葉植物を部屋に置いただけで、気持ちが変わりました。

 

医療現場でのアート、ホスピタルアート

NPOアーツプロジェクト」森合音(もり あいね)さんという人を伝えたい、というのが本づくりのきっかけだったそうです。

森さんは、ご主人を急死で失われていました。
その後、モーネ工房と井上由季子さんに出合い、井上さんの作るものに惹かれたそうです。
その理由を、森さんはこう云っています。

由季子さんのつくり出すものは、アートでもデザインでもない、じゃあ何か、と問われると、ひとことで表現するのは難しいですが、あえて言うならば“誰かを想うものづくり”というのが一番しっくりくるかな。

言葉はさらに続くのですが、この言葉がストンと収まりました。
まさにそう、井上さんの作品に出合った時に感じ、惹かれた理由は、それだったんだと思いました。

また、森さんが大切な人を失った悲しみ、苦しみからの気づいたことは、どんな状況のどんな人にも共通することかなと思いました。

表現すれば誰かに伝わって変化が始まる。そこからまた新しい未来が創造されるのだと。痛みから目をそらさず引き受ける覚悟をすれば、そこから何度でも立ち上がれるのだと。少し、目線を変えれば世界はこんなにも違って見え始めます。

 

『ハチドリのひとしずく

森さんと井上さんが携わった、和歌山県田辺市にある個人診療所「赤ちゃんとこどものクリニック Be」のお話の中で、紹介されていた物語です。

『ハチドリのひとしずく』のなかの言葉、「私は、私にできることをしているだけ」は診療所の理念の基でもあるそうです。

マザーテレサの言葉「小さなことを大きな愛をもって行うだけです」を思い出しました。
今度、手に取りたいと思います。 

ハチドリのひとしずく いま、私にできること

ハチドリのひとしずく いま、私にできること